多焦点眼内レンズ(老眼・老視治療)

 

眼内レンズの種類

種類 多焦点レンズ 単焦点レンズ
費用 選定療養/自由診療 保険診療
レンズ
度数の
精度
0.01D 間隔
完全オーダーメイド
乱視矯正可能
0.5D 間隔
特性 多焦点レンズ

・遠方と近方の両方が見えます
・眼鏡の装用頻度がかなり減ります
※ただし、他の眼科疾患がある場合は多焦点レンズを選択できないことがあります

単焦点レンズ

・焦点は遠方か、近方かの、一か所になります
・ほとんどの場合、眼鏡が必要になります

多焦点眼内レンズ(老眼・老視治療)について

多焦点眼内レンズ(老眼・老視治療)について ※健康保険適用外白内障手術の際に挿入する眼内レンズには、大きく分けて2種類あります。単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズです。白内障手術では一般的に単焦点の眼内レンズを使用します。単焦点眼内レンズは、ピントの合う点が1点のみになるため、遠方の見え方を重視すると近方はピントが合わないために老眼鏡が必要になります。逆に近方の見え方を重視すると、遠くを見るときにメガネが必要になります。この欠点を補い、できるだけメガネを使いたくないというニーズに応えるために登場したのが多焦点眼内レンズです。

多焦点眼内レンズは患者側の期待度が非常に高い反面、どの方にも適正がある訳ではなく、またレンズにもそれぞれ特性があり、すべての方に100%の満足を得られるような多焦点眼内レンズはこの世の中には存在しません。当院で手術を受ける方には、数多くある種類の中から自分自身の生活環境に一番合った眼内レンズを選択して頂きたく、また、適性がないのにもかかわらず、他人の成功体験だけを鵜呑みして過度な期待を持って臨まれることも決してお勧めできませんので、多焦点眼内レンズをご検討されている方の理解を深めるために、下記には当院で扱っている多焦点眼内レンズの種類、特徴や限界について記載しています。多焦点眼内レンズを検討されている方には、これらの内容をご参考に、ご自身のライフスタイルと照らし合わせて熟考して頂ければ幸いです。当院での手術をご検討されている方には、先ずは適応検査を受けて頂き、個々の検査データーに基づいて執刀医とよく相談して最終的なレンズ選択を決定します。折角多焦点眼内レンズをご希望されても、当院では希望者の約10%程度の方には角膜乱視や他の眼科疾患など様々な理由で「お勧めできない」と判断する場合もありますので、ご了承ください。

当院で使用している多焦点眼内レンズ(老眼治療)の種類と特長

当院で使用している多焦点眼内レンズ(老眼治療)一覧表

PDFはこちら

※横スクロールで全体を表示します。

レンズ外観 パンオプティクス テクニス シンフォニー
名称 Clareon PanOptix
クラレオン パンオプティクス
Tecnis Symfony
テクニス シンフォニー
Tecnis Synergy
テクニスシナジー
光学部
デザイン
回折型 回折型(EDOF) 回折型
乱視矯正
レンズ度数間隔
(ジオプター)
0.5 0.5 0.5
焦点の特性 遠方、中間、近方 遠方~中間
(連続的)
遠方、中間、やや近方
近見の
焦点距離
40cm 66cm
(焦点深度拡張)
40cm
得意な
見え方と作業
運転・PC作業・読書 運転・PC作業 運転・PC作業・読書
グレア・ハロー
の自覚
やや少ない
読書
PC
ゴルフ
夜間運転
生産国 アメリカ
(Alcon)
アメリカ
(AMO)
アメリカ
(AMO)
費用 選定療養 選定療養 選定療養
レンズ外観 レンティス AT リサ AT リサ
名称 Lentis
レンティス
AT LISA
AT リサ
Intensity
インテンシティー
光学部
デザイン
分離屈折型 回折型 回折型
乱視矯正
レンズ度数間隔
(ジオプター)
0.01 0.5 0.5
焦点の特性 遠方、近方 遠方、中間、近方 遠方、遠中、中間
中近、近方
近見の
焦点距離
40cm 40cm 40cm
得意な
見え方と作業
運転、読書 運転、PC作業、読書 運転、PC作業、読書
グレア・ハロー
の自覚
やや少ない 少ない やや有
読書
PC
ゴルフ
夜間運転
生産国 ドイツ
(Oculentis)
ドイツ
(ZEISS)
イスラエル
(Hanita)
費用 自由診療 自由診療 自由診療
レンズ外観 ファインビジョン ファインビジョン トリウムF ミニウェル
名称 Fine VIsion
ファインビジョン
FineVision TriumF
ファインビジョン トリウムF
Mini Well
ミニウェル
光学部
デザイン
回折型 回折型+EDOF プログレシブ型
乱視矯正
レンズ度数間隔
(ジオプター)
0.5 0.5 0.5
焦点の特性 遠方、中間、近方 遠方~やや近方(連続的) 遠方~中間(連続的)
近見の
焦点距離
30cm 40cm 50cm
得意な
見え方と作業
運転、PC作業、読書 運転、PC作業、読書 夜間運転や中間視力重視
(見え方が一番自然)
グレア・ハロー
の自覚
少ない ほぼ無
読書
PC
ゴルフ
夜間運転
生産国 ベルギー
(Physiol)
ベルギー
(Physiol)
イタリア
(SIFI Medtech)
費用 自由診療 自由診療 自由診療
当院ではこれまで実施した多焦点レンズ症例の視力成績を院内に公開していますので、ご興味のある方はご覧になってください。

クラレオン パンオプティクス(Alcon社):選定療養対象

パンオプティクスアメリカのアルコン社から2019年に発売され、初めて国内承認を取得した3焦点型の多焦点眼内レンズが、今まで以上にレンズの透明性維持が期待できる新素材を採用し新たに生まれ変わりました。レンズの特性はENLIGHTENテクノロジーを採用しており、遠方から近方まで幅広い距離で良好な見え方が期待できます。今までAlcon社のレストアで不向きとされていた、暗い所での中間・近方作業も改善されており、幅広い生活スタイルの方に適応できる多焦点レンズです。また、非球面構造による像のボケの軽減と黄色い着色による網膜保護効果を兼ねそなえています。ENLIGHTENテクノロジーと呼ばれる光学デザインにより瞳孔径が大きくなるほど、遠くへの光配分を大きくし、不快なグレア・ハローを軽減し、3焦点眼内レンズ中で最も光学的エネルギーロスが少ない為、コントラスト感度も良好です。また、角膜乱視を矯正する事も可能な為、乱視の強い方にも適応する事が出来ます。
このレンズは他の3焦点レンズと違い注文から数日で到着する為、手術予定日を先延ばしする必要もありません。

テクニスシンフォニー オプティブルー(AMO社):選定療養対象

テクニスシンフォニー オプティブルー(AMO社):先進医療適応2017年に国内発売されたアメリカのAMO社の最新型の多焦点眼内レンズ(通称:シンフォニー)です。焦点拡張型(Extended Depth of Focus:EDOF)と呼ばれるタイプの多焦点眼内レンズです。アクリル製のこの眼内レンズの特徴は、色収差を補正することで従来の回折型多焦点眼内レンズに比べて、コントラスト感度の低下を軽減し、レンズ光学部の回折溝の形状、間隔、高さなどを最適化することで焦点深度(ピントの合う幅)を拡張しています。

したがって、遠方から中間距離までの見え方がより自然で、コントラスト感度の低下が少なく、従来の回折型多焦点眼内レンズよりグレア・ハローを軽減できるため、デスクワーク中心のお仕事や夜間運転の頻度の高い方には適応しやすいレンズです。一方、近方視がやや弱いので、読書が趣味など近方を重視される方には適応しにくい可能性はあります。

テクニスシナジー(AMO社):選定療養対象

テクニスシナジーは、EDoFとマルチフォーカルのテクノロジーを組み合わせ、遠方からやや近方まで視力の落ち込みが少なく連続的で幅広い明視域を確保することができます。また色収差を補正するテクノロジーを搭載しており、遠方・中間・やや近方のコントラスト感度を向上することで薄暮下でも高いコントラストを得ることができ、昼夜問わず質の高い見え方が可能になりました。このように遠方から近方まで幅広い見え方を提供できることが可能となり、様々な生活のニーズにこたえることが出来るレンズとなっています。

レンティスエムプラス (oculentis社):自由診療

レンティスエムプラスドイツオキュレンティス社で開発された完全オーダーメイドの多焦点眼内レンズで、遠方部分と近方部分の境目がなく遠方から近方までがスムーズにつながって見えるのが特徴です。コントラストの感度が良好で、光学的な光のロスが少なくグレア・ハローも出にくくなっています。ただし、ごく稀ですが、ワキシービジョン(何となくすっきりしない、ワックスがかかったような見え方)を感じることがあります。

乱視も同時に矯正できるレンズもあり、0.01Dまで細かく対応していますので、白内障手術でもっとも懸念されているレンズ度数の狙いと実際の誤差がもっとも少ないレンズであると言えます。レンズはすべてオーダーメイドになりますので、注文してからレンズが日本に届くまでに最低でも4~6週間の時間がかかりますが、ご自身の目のサイズに一番ぴったりと焦点の合った眼内レンズを手に入れることができます。

AT LISA(ZEISS社):自由診療

AT LISA2012年に発売されて以来ヨーロッパではトップシェアを誇ります。
日本ではこのレンズを取り扱うことのできる施設は少なく、とてもプレミアムなレンズです。
このレンズは非常に適応範囲が大きく、強度の近視、遠視さらには強度の乱視に対応しており、今まで適応できなかったような患者様にも適応できる可能性が広がりました。
このレンズは遠方、中間、近方に適した光配分にすることで、中間距離の見え方を損なうことなく近方を見ることを可能としています。
夕暮れ時や夜間運転などの薄い光の中でも近方が見えやすい構造となっています。
また、グレアハローの少ないレンズデザインとなっており、夜間運転時など散瞳下においても良好なコントラストが得られるデザインのレンズです。

インテンシティー(Hanita社):自由診療

インテンシティー(Intensity Lens)はHanita Lenses社から20207月年に発売され、日本でも9月より取扱いが始まったレンズです。このレンズは5つの距離に焦点を合わすことができる5焦点眼内レンズであり、日常のあらゆる活動をカバーできるようになりました。
このレンズの一番の特徴は遠方、遠中、中間、中近、近方の5つの距離に焦点を合わすことができる5焦点眼内レンズであるということです。それにより従来の回析型2焦点や3焦点眼内レンズでは苦手としていた遠方~中間、中間~近方の距離にも焦点を合わすことができるようになりました。
そして、最適化された光エネルギー配分により光エネルギーのロスが6.5%と他レンズに比べ少なく、効率よく眼内に光を取り入れることが可能となります。さらに瞳孔径に応じて最適な配分になるように作られています。また、レンズ構造上グレア・ハローの影響も少ないことも大きな特徴の1つと言えます。

ファインビジョン(PhysIOL社):自由診療

ファインビジョンファインビジョン(FINE VISION)は、PhysIOL社(ベルギー)から2011年に発売された、遠見と近見以外に、中間距離にも焦点を持つ3焦点型の多焦点眼内レンズです。レンズ特性はアポダイズド回折型で非球面デザイン、遠くと近く、遠くと中間距離の2種類のバイフォーカル(2重焦点)レンズを組み合わせた二重構造になっているため、遠く、中間、近くが見えるレンズになっています。回折型多焦点レンズのうち、光学的エネルギーロスが最も少ないため、コントラスト感度が他のレンズよりもかなり良好です。材質は親水性アクリル、ブルーライトと紫外線をカットする着色レンズであり、アポダイズド構造によって、グレア、ハローがかなり軽減されます。角膜乱視を矯正できるトーリックタイプが推奨されています。

このレンズも注文してからレンズが日本に届くまでに約4週間の時間がかかりますが、遠方、近方のみならず、デスクワークに不可欠な中間距離もはっきり見えるため、おそらく現在国内で選択できる明視域の最も広く、各距離とも眼鏡を必要とする頻度が最も少ないレンズであると思われます。そのためか、国内外とも眼科医自身が白内障手術を受けた際に選択された実績が高く、当院でもファインビジョンが最もよく選ばれています。ただし、眼内レンズの製造度数には限界があり、稀に近視度数が極めて強い方には対応できるレンズ度数がないことがあります。

ファインビジョン トリウムF

ファインビジョン トリウムF今までのFine visionと比較して3焦点眼内レンズよりも遠方からやや近方まで連続して見えます。
コントラスト感度や夜間のハローグレアも多少感じにくい構造となっています。
現状では乱視矯正できないので、角膜乱視の強い方には不向きなレンズとなります。

ミニウェル・レディー (SIFI MedTech社):自由診療

ミニウェル・レディーミニウェル・レディーはイタリアのSIFI MedTech社で開発された従来の回折型や屈折型と全く異なる新しいタイプの多焦点眼内レンズです。プログレシブ眼内レンズ((Progressive IOL))と呼ばれるレンズ光学構造は、球面収差の原理を利用しており、近方距離がやや弱いものの、遠方から中間距離まで連続して良好な明視域を保持することを実現した世界的に注目度の最も高い多焦点眼内レンズの一つです。従来の多焦点眼内レンズの宿命とされているグレアやハローといった自覚症状やコントラスト感度の低下が全くなく、ヒト水晶体眼に最も近い自然な見え方を実現した多焦点眼内レンズです。これまでグレア・ハローの影響やゴーストビジョンなどの懸念のため、回折型や屈折型の多焦点レンズともに適応が難しかった夜間ドライバーの方や片眼のみが白内障で手術をご希望される方には新たな福音となります。しかし、現在のレンズは角膜乱視を矯正できないので、強い角膜乱視を有する方では適応しづらい可能性があります。このレンズも注文してからレンズが日本に届くまでに約4~6週間の時間がかかります。

選定療養についてのご案内

2020年4月1日より、多焦点レンズによる白内障手術は「選定療養(費用の一部を健康保険併用)」と「自由診療」を選択できる事になりました。


選定療養による多焦点レンズの手術では、手術にかかる費用は単焦点レンズと同じく健康保険適応となるが、多焦点レンズにかかる代金は別途自己負担となります。多焦点レンズの種類は従来通りの「二焦点レンズ」と「三焦点レンズ」を選択でき、いずれも国内認可されたレンズに限られます。自由診療では国内認可のレンズを選択できるのはもちろんのこと、より高性能なオーダーメードレンズ(国内未認可)も選択でき、レンズの特徴などは多焦点一覧表をご参照ください

※国内認定のレンズを選択する場合は「選定療養」を利用した方が経済負担が少なく、より高性能なオーダーメードレンズ(国内未認可)のレンズを選択する場合は「自由診療」となります。なお、当院では視力改善の優位性と臨床効果が明白なエビデンスとして得られていないフェムトレーザー装置を採用しておりません。

多焦点眼内レンズの治療費は所得税の医療費控除が受けられます

年間の医療費自己負担額が10万円を超えた場合、確定申告時の医療費控除が得られます。詳しくは下記の国税庁による回答ページをご覧下さい。

■ 医療費控除につい

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