ボツリヌス療法

 

ボツリヌス療法とは

ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌(食中毒の原因菌)が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。ボツリヌストキシンには筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。そのためボツリヌストキシンを注射すると、筋肉の緊張をやわらげることができるのです。ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。この治療法は世界80カ国以上で認められ、広く使用されています。日本では、眼瞼痙攣に対する承認を得てから、片側顔面痙攣、痙性斜頸、小児脳性麻痺患者の下肢痙攣に伴う尖足、手足(上肢・下肢)の痙攣、重度の原発性腋窩多汗症に対して認可され、2015年に斜視の適応追加で承認されました。
治療法 痙攣している筋にボツリヌス毒素製剤を1カ所につき0.05~0.1ml注射します。これにより筋収縮が阻害され、筋の攣縮および緊張を改善し、筋肉の突っ張りやこわばりを和らげることにより痙攣による痛みを緩和する効果などが期待できます。効果は注射後2,3日目から徐々にあらわれ、通常3~4ヶ月持続し、その後、効果が徐々に消え、治療を続ける場合には、年に数回注射を受けることになります。ただし、効果の持続時間には個人差があるので、症状を相談しながら、注射箇所や量について治療計画を立てていきます。当院では主に下記の病気で使用しています。

眼瞼痙攣

特に50~70歳代で発症が高く、男女比は1:2~3と女性に多くみられます。眼瞼痙攣の初期症状としては、まぶしい、目を開けているのがつらい、目が乾くなど多様で、ドライアイと似通った症状がみられます。症状が進行すると、自分の意思で目を開けようとしても、目を開けられなくなります。手を使って開けなければならない場合もあり、視力異常がなくても機能的に失明状態に至ります。精神緊張の影響を受けることも多く、緊張で増悪する例がある一方、日常では重症であるのに診察室では無症状という例も見られます。

  • 治療前

    術前

  • 治療後

    術後

片側顔面痙攣

50~70歳代の女性に多く診られる病気です。初期症状は主に顔の片方の目の周囲、口がピクピクします。進行すると症状が頻繁に起こり、目の周囲や口、ほお、あごの筋肉がひきつります。緊張しているときや食事、笑ったとき、人と話している時に症状がでやすく、放っておいても自然に治る病気ではありません。

  • 治療前

    術前

  • 治療後

    術後

斜視

斜視は、眼位のずれが生じ、両眼の視線が同じ方向に向かない状態となる疾患です。このような眼位のずれは、先天性あるいは後天的な疾患や外傷などにより眼球に付着する6つの外眼筋における筋緊張のバランスが変化することで生じます。小児期発症の斜視は多くが原因不明ですが、高齢になるともともとあった斜視が徐々に悪化し、眼精疲労やものが二つに見える症状により生活に支障がでることがあります。また、スマートフォンをなどの過剰使用により急性内斜視の発症や悪化を招くことあり、10代を中心に発症が急増しているという報告もあります。

  • 術前

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